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人間関係と距離感。良い距離のとり方、適度な距離感を保つ秘訣とは?

人間関係では、距離というものが大事になってくることがあります。

ここで言う距離というのは「心の距離」という意味の距離になります。

この距離が離れ過ぎていると、お互いに打ち解けることもないし、反対にこの距離が近すぎると、親しさが下手をすると憎しみに変わることもあります。

今回は、そんな人間関係と距離感について、また、その距離のとり方についても見てゆきたいと思います。

目次

親密度と相手を憎む気持ちは紙一重

親密度を増すには、その相手の人との「心の距離」を縮めてゆく必要があります。

だけど、バランスがあって、その心の距離は近ければ近いほどいいというわけではないようです。

心の距離が遠ければ、いわゆる他人行儀のまま・・打ち解けることもありません。だから、相手と打ち解けたり、仲良くなるには、心の距離を縮めてゆく必要があります。

距離が近くなると、親密度も当然増してゆきます。

ところで、距離が近くなるほどに「あること」が起こると言われています。

それは、距離が近くなると、1)相手に感じる好意が増す、もう1つは、2)相手に対する憎悪も同じように増すようになる・・ということです。

つまり、距離を縮めてからは、相手がやることに対する喜びもぐっと増えるけど、相手が何かネガティブなことをした時の悲しみもぐっと増えてしまう・・ということになります。

だから、友達になりたての人とでは、何かネガティブな態度をとられても、そこまで残念な気持ちになったりすることもないのに、相手が親友の場合は、大きなショックを受けたりします。

じゃあ、どの位の距離がいいのか・・?

ということですが、遠すぎれば仲良くなれず、近すぎると、相手への好意も増すけど、トラブルも増えてしまう・・

適度な距離は、この2つの間のどこかにあるわけですが、ここまでは近づいてもお互いニコニコしていられて、これ以上近づくと、一緒にいるのが辛くなったりしてしまう・・というラインのようなものがあるのかも知れません。

そのラインはきっとその相手によっても、また、お互いの関係によっても近くなったり、遠くなったりして。

ただ、絶対的なラインのようなものがあるとそれば、それは人の「心の領域」の一歩手前に引かれているラインなのかも知れません。

そのラインを越えて入ろうとすると、相手は苦しくなって、だから、離れなくてはならなくなったりします。

「心の領域」とは?

じゃあ、その「心の領域」って何なのか?

・・ということですが、心理の専門家で医学博士の水島広子先生は著書の中で、「相手にしかわからない事情に基づく、相手にしかわからない領域」・・という風に表現されています。

例えば、相手のその言葉やその行動だけでその相手そのものを判断してしまうこと。

その裏にある事情に目を向けず、相手を「決めつけて」、「それは間違っている」、「それはかわいそう」、「それは・・・」と相手を判断すること。

例えば、そんなことが相手の領域に踏み入れる典型的な例だと著書の中でおっしゃっていました。

だけど、例えば、夫婦や彼氏・彼女、親子、親戚、または仲の良い友達・・・といった近い関係だと、相手のことは何でもわかっているかのようなそんな気持ちになってしまうこともあります。

そんな時につい・・本当は相手にしかわからないようなところまで、もしくは相手の言動のその裏に相手にしかわからないようなことがあるかも知れないことを忘れて・・相手の領域へと入ってしまうこともあるかも知れません。

そんな時に、どこか関係が崩れてしまったり、すれ違ったりする。

もっとも、その相手にしかわからないことを見極めることも難しいことだと思います。

ただ、相手にしかわからないことがあるという思いが心のどこかにあるだけでも・・・その人間関係はスムーズなものになってゆくのかも知れませんし、そう思ってみることが人間関係で上手に距離感を保ってゆく1つの秘訣なのかも知れません。

とても近い関係での距離感

実業家で数々のベストセラーの著者でもある斉藤一人さんは、「心の空間」という風に表現されていらっしゃいますが、この「心の空間」、もしくは「心の領域」とは、「(自分が)自由にのびのび動ける場所」・・・なのだそうです。

そして、例え、結婚相手であっても、彼氏や彼女であっても、自分の「心の空間」をおかされるとものすごくイヤになってしまう。

相手が好きでたまらない時に相手がその心の空間に入ってきても大丈夫でも、しばらくすると、相手がその空間に入ってくることがすごくイヤになって、一緒にはいられなくなる・・・と。

だけど、自分のその心の空間を認めてくれる人とは長く一緒にいられるのだと。

反対にその心の空間を認めてくれなかったり、減らそうとしてくる人と一緒にいるのは耐えられなくなるのだと。

愛情や友情のひとつの形

さて、僕自身の話になりますが、僕は、親しい関係だから、愛情というものがあるなら・・何でもわかり合いたいと、以前はそう思っていました。

(そうやって近づきすぎてしまったり、相手の心の領域にまで踏み込んでしまったことも何度もあったかも知れません)

だけど、それは愛情ではなかったのかも知れないと・・ある時から思うようになりました。

本当の愛情であったり、友情であったり・・そういうものは、むしろ、相手の領域や空間というものを大切にしてゆくことと、ある時からそう思うようになったのです。

そうやっているうちに自分の心の領域というものにも目が向いてくることもあったりします。

相手の心の領域も、自分の心の領域もどちらも大切なものだと思うのです。どっちか片方だけ・・大切にすることはできないと思います。

それはとても難しいことですが、ただ、この2つを大切にしてゆくことで自ずと解決してゆく人間関係の悩みや問題もあるのかも知れないと思っています。

そして、このお互いの心の領域を大切にするということが、適度な距離感を保つための秘訣でもあるのかなと、思います。

大人になってからは「腹6分」がちょうどよい距離感

例えば、学生時代は、何でも友達と分かり合えたし、お互いが同じステージ、環境にいるので、少々近づき過ぎても、それでも、分かり合えるということもあるものだと思います。

ただ、大人になってくると、それぞれに事情ができたりして、例えば、仕事があったり、家庭があったり、または、人生のステージのようなものが違って、子育てに一生懸命になるステージや仕事に一生懸命になるステージがあったりして・・

そういう相手の事情がなかなか見えてこなかったり、またはこちらの事情が相手に伝わらないこともあるかも知れません。

そんな時に、相手に近づき過ぎたり、学生時代のように何でも分かり合おうとすると、親しいはずの友人に対して、何かネガティブな感情、例えば、怒ったり、悲しくなったり、残念な気持ちになったり・・・そんな気持ちになってしまうこともあるかも知れません。

こんな時は(相手に対して残念な気持ちになったり、怒ったり、悲しくなったりした時は)、相手との距離が近すぎるよというサインなのかも、知れません。

じゃあ、どの位離れたらいいのか、ということですが、それは先ほどの心の領域に入らないところまでということの他にもう1つ、「腹6分」で付き合う・・というのも良い方法かも知れません。

お腹いっぱいになるまで付き合おうとするのではなく、腹6分でやめておく、もうちょっと分かり合いたいというところでやめておくというのも、特にお互いがそれぞれ異なる事情を抱えるようになる社会人になってから、大人になってからは大切なことかも知れません。

お互いが笑って付き合ってゆくためには。