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すぐ不安になる。不安になりやすい原因と自分の中にある考え方の癖

何かあるとすぐ不安になってしまう。

そんな人もいるかも知れません。

一方で、同じことがあっても、それほど不安を感じない人もいます。

こっちは不安で仕方がないのに、同じことがあったはずのもう一人は、何事もなかったかのように笑っていたりして。

この違いって一体何でしょうか?

持って生まれたもの?

確かにそれもあるかも知れません。

性格の半分は持って生まれたものであるという研究結果もありますが、持って生まれた性格も不安になりやすいかどうかに関係しているかも知れません。

ただ、持って生まれた性格だけで、不安になりやすいかどうかが決定されるわけではないように思います。

持って生まれたのは、今の性格の半分でしかないからです。

じゃあ、不安になりやすいかどうかを決定付けている残りの半分は何かというと、それは自分の中にある「考え方の癖」ではないかなと思います。

そして、不安になりやすい人達には、ある程度共通した考え方の癖があるようです。

それは考え方の「癖」なので、後天的なものになりますし、「癖」であれば、それを直すことができるかも知れない。

そして、その不安になりやすい原因となっている「考え方の癖」を直してゆくことで、不安に強くなれることがあります。

今回はそんな、自分を不安にさせてしまう考え方の癖とその直し方についてご紹介したいと思います。

目次

1)一般化のしすぎ「overgeneralization」

不安になりやすい人達がある程度共通して持っている考え方の癖の1つが、「一般化のしすぎ(overgeneralization)」と呼ばれるものです。

これは考え方の癖を変える方法の中でご紹介した10個の考え方の癖の中の1つになります。(以下でご紹介する考え方の癖も同じく上記の記事の中で簡単にご紹介しています)

「一般化のしすぎ」とはどんな考え方の癖かというと、例えば、

ネットの口コミでサービスがいいと評判の温泉宿に泊まったら、担当してくれた仲居さんがそこまで丁寧ではなかった。

→ ネットの口コミは当てにならない。

こんな風に一度やまたはわずかな体験から、それが全てであるかのように結論づけてしまう考え方(の癖)が、「一般化のしすぎ」になります

これは「考え方の癖」になります。
これを専門的な言葉で言い換えると、「認知の歪み」と言います。

つまり、「サービスがいいと評判の宿に行ったら、仲居さんがそこまで丁寧ではなかった。だから、ネットの口コミは当てにならない」というのは、少し歪んだ捉え方である可能性があるということになります。

というのも、その担当した仲居さんがそこまで丁寧ではなくても、他の仲居さん達はすごくサービスがいいかも知れないわけです。

また、その担当した仲居さんも、例えば、入社したばかりで、緊張していただけだった・・かも知れないし、何か理由や事情がそこにあったのかも知れないわけです。

こんな風に自分の中に「一般化のしすぎ」という考え方の癖があると、それが不安になりやすい自分にさせてしまうことがあります。

例えば、映画館に行ったら、上映中に平気でおしゃべりをする人がいて、不快な気持ちになったとします。

そして、映画館はマナーの悪い人がいる場所だから、ゆっくり映画を観れない・・という風に一度の経験で、それがすべてであるように一般化をしてしまった。

すると、映画館に行きたいなと思った時も、「また不快な思いをするのではないか」という不安が湧き上がってくるかも、知れません。

この場合の不安は、その前の段階で一般化をしてしまったことが原因なわけです。

じゃあ、「一般化のしすぎ」という考え方の癖が自分にあると思った場合はどうしたらいいでしょう?

この場合は、物事を区切って考えることを習慣にしてゆくことが効果的です。

何かあった時も「あのケースではそうだった」「あの時はそうだった」という風に、物事を区切って考えるようにすることをできるだけ習慣にしてゆきます。

ハサミで「チョキン!」と切るようにして、物事を区切って考える。

物事を区切って「あの時はそうだった」と考えるようにすると、「次は違うかも知れない」という風に考えることができると思います。

2)結論の飛躍「jumping to conclusions」

不安になりやすい人達がある程度共通して持っている考え方の癖の2つ目が「結論の飛躍(jumping to conclusions)」と呼ばれるものになります。

「結論の飛躍」とは、自分の感情や思い込みで否定的な結論を出してしまう考え方の癖になります。例えば、

友人にメールをしたけど、何故か返信が来ない。

→ きっと私は嫌われたんだ。

こんな風に、思い込みで否定的な結論を出してしまうことが「結論の飛躍」という考え方の癖になります。

思い込みで・・と書かせていただきましたが、この場合は、友達は何か返信できない事情があるのかも知れません。

または、そもそもメールをもらったことは嬉しかったけど返信が必要とは考えていないのかも知れないし・・返信が来ていない理由は、「嫌われたから」ということ以外にも、色々考えられるわけです。

自分が思ったことが思い込みかどうかは、そこにしっかりとした根拠があるかどうかがその見分け方になります。

今回の例では、嫌われたかどうかということの根拠は殆どない、もしくはとても曖昧なものです。

返信がないということだけでは、嫌われたことの根拠にはならないわけです。

こういった「結論の飛躍」という考え方の癖があると、それが不安になりやすい自分にさせてしまうことがあります。

先ほどの例でも、思い込みで結論を飛躍させてしまったために、「嫌われたのではないか?」という不安が湧き上がってきたわけです。

この「結論の飛躍」という考え方の癖を直すための方法ですが、自分の考えが思い込みであるかどうかを自分に問いかけることを習慣にすることが大事なポイントになると思います。

それが真実ではなくて、思い込みである、つまり、100%そうとは言えないということがわかれば、否定的な結論を出さずに済むことが多いためです。

そのためには、何かマイナスな考えが浮かんできた時に自分に対して「本当にそうだろうか?」と問いかけてみることがとても効果的です

「本当にそうだろうか?」

と問いかけると、本当にそうかどうかを確認するために、他の可能性に意識が向きます。

すると、「そうではないかも知れない」という風に1つのことにとらわれた状態から抜け出すことができたりします。

先ほどのメールの返信の例でも、メールが来ない → 嫌われたのではないか?という思い(不安)が浮かんで来たら、「本当にそうだろうか?」と自分に問いかけてみます。

「本当にそうだろうか?」

すると、「嫌われたとは限らない。何か事情があって、返信できないのかも知れない。返信が必要ないと思ったのかな。」という風に他の可能性が浮かんでくるかも、知れません。

3)拡大解釈と過小評価「magnification and minimization」

不安になりやすい人達がある程度共通して持っている考え方の癖の3つ目が「拡大解釈と過小評価(magnification and minimization)」という考え方の癖です。

「拡大解釈と過小評価」とは、簡単に言うと、悪いことは大きく、良いことについては小さく評価をする・・・という考え方の癖です。

例えば、交通事故の件数が減っているというニュースが流れた後に、悪質運転のニュースが流れたとします。

もし、自分の中に「拡大解釈と過小評価」という考え方の癖があったとすると、交通事故の件数が減っているというニュースよりも、1件の悪質運転のニュースばかりに注目してしまうかも知れません。

その結果、例えば、自分もそんな悪質運転の被害者になったら・・と不安に思ったり、自動車で旅行に行くのは不安だな・・と思ったりしてしまうかも知れません。

ただ、これも考え方の癖で、認知の歪みの1つです

というのも、この場合は、交通事故の件数は減っているわけですから、道路は以前よりも安全であるということになります。

ただこの「拡大解釈と過小評価」というのは、実は多くの人が持っている考え方の癖で、それは生きてゆくためにはある程度は必要なことでもあったりします。

良いことばかりに目を向けて、悪いことに目を向けなければ・・・例えば、平和な世の中だからと戸締りをせずに外出してしまうかも知れません。

マイナスなことに注目するからこそ、自分の身を守れる時もあるわけです。

ただ、それが行き過ぎてしまうと、不安になりやすい自分になってしまうかも知れません。

もし、この「拡大解釈と過小評価」という考え方の癖があって、そのせいで不安になることが多いと思った場合は、悪いことを考えた後に、良いことも考える習慣を身に付けるといいかも知れません。

何かマイナスなことに注目した後は、プラスのことにも同じように注目してみるのです。

どちらかに傾き過ぎないように・・バランスをとってゆきます。シーソーのように上がったら、下げるを繰り返して・・バランスの取れたポイントを見つけるのもいいかも。

そんな風にして物事をバランスよく見るようにしてゆくと、必要のない不安を感じることも減ってゆくように思います。

4)感情的決めつけ「emotional reasoning」

不安になりやすい人達にある程度共通している考え方の癖の4つ目が「感情的決めつけ(emotional reasoning)」です。

これは簡単に言うと、自分の感情をベースに物事を判断しようとする考え方の癖です。

例えば、買い物を例にしてみます。

自分は豆乳がないと生きていけない位、豆乳が大好きだったとします。

ある日、スーパーの豆乳のコーナーに行った時、「豆乳を切らしたらどうしよう・・」という不安がふと湧いてきました。

そこで(冷蔵庫にはどの位豆乳が残っているかということも考えずに)「買っておいた方がいい」と思い、結局必要以上に買ってしまいました。

この時、不安になったことを理由に「買っておいた方がいい」と判断したのは、「感情的決めつけ」ということになります。

この感情で物事を判断する癖があると、不安に振り回されやすい自分になってしまいます。

湧き上がってきた不安をまるで真実のように受け止めて、行動してしまうので、ある意味、不安に支配されているような形にもなります

今回の例では、「豆乳を切らしたらどうしよう」という不安が湧き上がってきて、豆乳が切れてしまうということを(冷蔵庫にある豆乳の数をよく考えず)まるで真実のように受け止めて、そして、必要以上に買ってしまったわけです。

ここで大事なポイントですが、不安というのは、必ずしも真実であるとは限りません

むしろ、不安というのは多くの場合、「真実とはかけ離れた妄想」であることが殆ど。

実は、不安の8割は実際には起こらない「自分の中の妄想」であることが研究でもわかっています。

ですので、何かを判断する根拠が自分の不安という感情になってしまうと、誤った判断をしてしまいやすくなります。

じゃあ、この「感情的決めつけ」という考え方の癖が自分の中にある場合はどうしたらいいか?

ということですが、感情が湧いてきたら、その感情で物事を判断するのではなく、一度、理性で考え直してみるということになります。

言い換えると、少し冷静に、客観的に分析してみる・・ということです。

この場合は、考える・・じゃなくて、分析してみる・・の方が客観的になれるかも知れません。

先ほどの豆乳の例も、「豆乳を切らしたらどうしよう」という不安が湧いてきたら、その不安を根拠に買う買わないの判断をするのではなく、一度冷静に分析してみます。

この場合は、「今、冷蔵庫に何個あるかな?」「それだとあと何日持つかな?」「次にスーパーに来るのはいつになるかな?」という風に客観的に分析してみます。

すると・・「今買わなくてもいいな。」と思えるかも知れません。

これは買い物だけではなくて、例えば、人間関係でも同じようなことが言えるかも知れません。

自分の感情をもとに相手を判断しようとすると、例えば、相手が本当に意図していたことを見逃してしまいやすくなります。

感情、例えば、不安というものは、何かに気を付けた方がいいというシグナルなのだと思います。

それは生きていく上ではなくてはならないものです。

ただ、不安はシグナル以上のものではありません。それはただのシグナルなのであって、真実でもなければ、何かを判断する根拠にもならないものです

不安に振り回されないためには、そういった不安の本当の姿について知っておく必要があるように思います。

考え方の癖を変える時は「3」を意識して

ここまで不安になりやすい理由と自分の中にある考え方の癖についていくつかご紹介してきました。

ここで1つ、大事なポイントがあります。

これは考え方の癖を変える方法でも書かせていただきましたが、考え方の癖は癖であって、これまで何年も何十年も繰り返してきた可能性のあるものです。

だから、気づいて変えようと思っても、すぐに変わるなんてことはないわけです。

すぐに変えられるなら、そもそも癖ではないし、それによって苦しむなんてこともないわけですから。

考え方の癖を直すためには、時間がかかります。
考え方はゆっくり変わってゆくためです。

また、記事の中で「習慣」という言葉を何度か使わせていただきましたが、考え方の癖を変えるには、新しい考え方を「習慣」にする必要があります。

じゃあ、何かを習慣にするためには何をしたらいいか?ということですが、何かを習慣にするためには、その何かを「繰り返す」必要があります

例えば、朝に歯を磨く習慣も、何度も何度も繰り返してきたからこそ、習慣になったのだと思います。

同じように、新しい考え方を習慣にするためには、何度も繰り返してゆく必要があります。

だから、1度や2度やって、思うようにいかなくても大丈夫です。

うまくいかなかったのは、それがまだ習慣になっていないからです。

ちなみに、物事を習慣にしてゆくためには「3」という数字が大事だと言われています。

どういうことかと言うと、最初は3日を目指して続けていきます。それができたら、3週間。次は3か月。

3か月を過ぎると、その習慣にしたいことが身に付いてきて、ある程度意識しなくてもできるようになってゆきます。

そして、最終的に目指すのは3年です。3年が経つと、それはもう完全に自分の習慣になっていると思います。

だけど、最初に意識するのは3日です。まずはそこから。

この話については考え方の癖を変える方法や習慣が人を変える、習慣が人を変える、習慣が身に付くまでにかかる時間とは?でもご紹介していますので、よかったらそちらも参照下さい。