言うことを聞かない人、アドバイスを聞かない人への対処法は?
「言うことを聞かない人にはどう対応したらいいですか?」
「アドバイスを聞かない人にはどうしたらいいですか?」
そんな風に聞いていただいたことがあります。
言うことを聞こうとしない人、一生懸命考えて送ったアドバイスを聞かない人も中にはいるかも知れません。
そんな時はどうしたらいいか?ということですが、言うことを聞かない、アドバイスを聞かないといっても、色々なパターンがあるかと思います。
例えば、親が言っていることを子供が聞かないこともあれば、上司のアドバイスや上司の言っていることを部下が聞かないこともあるし、友人のために言っていることを友人が聞こうとしない・・ということもあるかも知れません。
また、必要性があって言うケース、必要かどうかは別にアドバイスとして伝えるケース、また、アドバイスなどを求められてするケース・・などもあると思います。
今回はそういった色々なケースで、言うことを聞かない人、アドバイスを聞かない人に対して、どうしたらいいか?ということについて考えてみたいと思います。
また、相談してくるのに、アドバイスは聞かない。こちらが言ったことは否定する・・なんてことも中にはあるかも知れません。
そういった場合についても記事の最後で考えてみたいと思います。
何故、言うことを聞こうとしないのか?3つの理由
こちらの言うことやアドバイスを聞かない人、聞こうとしない人は案外多いものだと思います。
でも、何故、人は人の言うことやアドバイスを聞こうとしないのでしょうか?
それには3つの理由、心理があると思います。
1)心理的リアクタンスという人の欲求
「心理的リアクタンス」とも言いますが、人には自分がやることを自分で決めたいという欲求があると言われていて、それを他人に強制されるのを嫌がり、無意識の間に抵抗しようとする・・そんな特徴があります。
例えば、子供が「勉強しなさい!」と母親に言われて、「今やろうとしているところなんだよ。うるさいなぁ。」と反抗してくるのも、この心理が働くため。
だから、「勉強しなさい」と子供に言うのは、逆効果なのかも知れません。
これは、相手が言っていることが正しいかどうかは関係なくて、ただ、人は自分のことは自分で決めたいという根本的な欲求があるようです。
アドバイスを聞かない人や言うことを聞かない人は、この欲求が人よりも少し強いのかも。
また、どんな人にも程度の差はあっても、そういった欲求があるため、例えば、求められていない状態でのアドバイスは歓迎されない(又は、聞き入れてもらえない)ことが多いかも知れません。
ただ、例えば、親御さんがお子さんにアドバイスする、または上司が部下に対して何かを伝えるといったように、何かしら、求められているわけではないけれど、言わなくてはならない状況も中にはあるかも知れません。
そんな時はどうしたらいいか?ということについては少し後で考えてみたいと思います。
2)否定されたくない
アドバイスは、「こうした方がいい」という風に相手に伝えることですが、それは、一つ間違えると、今、もしくは今のその人への否定になってしまうことがあります。(そう受け取られてしまうことがあります)
その場合、相手が嫌がっているのは、自分を否定されるということなのかも知れません。
3)本当に求めているものがアドバイスではない場合
例えば、誰かから相談されたり、アドバイスを求められたりすることもあるかも知れません。
相談されているのに、「アドバイスをください」と言われているのに、アドバイスをしたら、否定されたり、アドバイスを聞こうとしなかったり・・・ということもあるかも知れません。
これについては少し後で詳しく書きますが、このような場合、相手が求めているのは実はアドバイスではないのかも知れません。
つまり、相談はしていても、実は結論や答えのようなものはすでにその人の中にあって、その答えでいいかどうか、確信を持ちたいだけなのかも。
この場合、相談という形をとっていますが、本当に求めているのはアドバイスというよりも、同意や確信ということなのかも。
また、人によっては、この人ならこう言ってくれるだろうという、欲しいアドバイスがすでにあって、その言葉を求めているということもあるかも知れません。
この場合も、答えが自分の中にあるようなものなので、だから、それとは違うアドバイスをしても聞き入れてくれなかったり、アドバイスしたことを実践してくれないかも知れません。
じゃあ、どんな風に言えばいい?どんなアドバイスをしたらいい?
じゃあ、どんな風に伝えればいいか?どんなアドバイスをしたらいいのか?ということですが、これも色々なケースがあると思うので、一概には言えないかも知れません。
例えば、仕事で上司が部下に指導の一環として、アドバイス(どちらかというと指導)をするケースと、母親や父親が子供に対して、何かをアドバイス、または何かを伝えるケースでは、対応や対処の仕方もがらっと変わってくると思います。
ただ、先ほどの、人が言うことを聞かない、アドバイスを聞かない3つの理由、
1)心理的リアクタンス
2)否定されたくない
3)本当はアドバイスではなく同意、確信が欲しい
といったことから考えると、相手に自分で決めさせる方向で何かを伝える、アドバイスをすると、心理的リアクタンスの心理が働かず、相手も自分の話に耳を傾けてくれるかも知れません。
例えば、「こういう風にしなさい」という形だと、心理的リアクタンスの心理が働いてしまうわけですが(その欲求が強い人は特に)、その場合は例えば、「どうしたらいいと思う?」と自分で考えさせてみるのも良い方法かも知れません。
そうやって自分で出した答えであれば、「自分で決めたい欲求」は満たされているわけですし、何より自分で決めたわけですから、やらざるを得なくなります。
また、アドバイスをする際は、否定ではなく、肯定的なメッセージとして伝えるのも一つの方法かなと思います。
欠点を指摘すると人は身構えたり、抵抗しやすいので、そうではなくて、肯定的なことをアドバイスとして送るというか。長所を指摘して、そこを伸ばすようなやり方でしょうか。
欠点というのは、見つけやすいもので、それは本人にとっても同じなのですが、自分の長所というのは案外自分では気づかないことも多いと思います。
そう思うと、長所を伸ばしてゆくというやり方も一つの方法かなと思いますし、少なくとも、肯定的なアドバイスの方が、聞き入れてもらいやすいかも知れません。
相談してくるのに、アドバイスを聞かない人には?
相談をされたから、「こうしたら?」とアドバイスをしたら、「そんなのできない」と否定されたり、何度も同じことを相談されたり、アドバイスそのものを聞こうとしなかったり・・・そんなこともあるかも知れません。
この理由は、相談という形はとっているけれど、ただ自分の話を聞いてもらいたいだけということもあるかも知れませんし、先ほどのように、答えはもうすでに自分の中にあって、それでいいのかどうか、その同意、確信のようなものが欲しいだけの場合もあるかも知れません。
または、自分が思っていること、自分の中で出ている答えに対してそれでいいと後押しして欲しいだけということもあるかも知れません。
この場合は答えがもうすでに自分の中で出ているので、違う答えを出されても(アドバイスされても)聞かない・・・という人が多いかも知れません。
じゃあ、こんな時はどうしたらいいか?
・・ということですが、アドバイスではなく、同意が欲しい場合は、「今のところ、あなたはどう思っているの?」と質問で返してみるのもいいかも知れません。
人は自分で考えて、それで失敗しても、そこから自分自身の足で立ち上がってはじめて、何かを学ぶものだと思います。
だから、そういう意味で、自分で考えたことをまずはやってみることが大切で、この場合は、その後押しをしてあげるということも大切なことなのかも知れません。
また、ついアドバイスしたくなる・・という人もいるかも知れません。
相手が傷ついたり、嫌な思いをするのを見たくない、その前に何とかしてあげたいという思いがあったり、自分と同じように苦しんで欲しくないという思いからであったり、または、相手に喜んでもらいたいという思いから、です。
ただ人は、傷ついたり、嫌な思いをしたり、苦しい思いをしてはじめて知ることもあって、場合によっては、知らないからこそ、自分で発見してゆく楽しみもあるのかも知れないわけです。
そういう意味では、あえて、何もアドバイスしない(見守る)というのも、難しいことですが、それも一つの優しさの形なのかも知れません。
少し話がそれましたが、相手が求めているのはアドバイスではないということを知った時、「じゃあ、相談するなよ!(笑)」・・と言いたくなることもあるかも知れませんが、それも当然かも知れません。
相談を受けるのは大変なことだと思いますし、自分の時間を割いて、真剣に親身になって考えたことを、例えば、「自分はそうは思わない・・」なんて言われたりすると「じゃあ、聞かないで(泣)」と言いたくなる、かも。
このような場合は、ただ話を聞いてあげるだけでもいいのかも知れませんし、または、場合によっては無理をしてまで相談を受け続ける必要もないのかも知れません。
こういったケースでは、アドバイスではなく、話を聞いて欲しいということだと思うので、相談を受けるかどうかは、話を聞いてあげたいと思える相手かどうかで判断してもいいのかも知れませんね。
さて、人に何かを伝える、アドバイスをするということについて色々と見てきましたが、誰かに何かを伝える、アドバイスをするというのは、本当に大変なことだと思います。
特にアドバイス、もしくは指導をしなければならないような状況にいらっしゃる方は、大変な思いをされているのではないかなと思います。
ただ、ここまで見てきたように、人が言うことを聞きたがらない理由というのがあるので、何かを伝えなければならない場面では、その辺をある程度把握した上で、少し言い方を変えてみたり、切り口を変えてみたりしてもいいかも知れません。