愚痴や悪口ばかり言う人の話を上手に聞き流す方法とは?
愚痴や悪口を聞かされると嫌な気分になってしまう、ストレスがたまってしまう。
そんなこともあるかも知れません。
また、時々聞く位なら問題はないけど、相手が毎回愚痴や人の悪口ばかり言う人だったりすると本当にきついと思ってしまうこともあるかも知れません。
そして、それは当然のことだと思います。
愚痴や悪口というのは、多くの人にとって聞いていて心地いいものではないと思います。
もし、愚痴を聞かされることがストレスになっている場合は、できれば、少しその人との距離をとってみてもいいかも知れません。
ただ、どうしても物理的な距離を置けないような相手も中にはいるかも知れません。
今回はそんな時、どうやったら愚痴や悪口ばかり言う人の話を上手に聞き流すことができるか?ということについて見てゆきたいと思います。
愚痴や悪口を言いたくなる心理
愚痴や悪口を上手に聞き流すにはどうしたらいいか?
ということですが、そのためには、そもそも何故、愚痴や悪口を言いたくなるのか?と考えてみるのも良い方法かも知れません。
その本当の理由がわかると、人の愚痴や悪口がそれほど気にならなくなったり、上手にスルーできるようになることがあります。
さて、愚痴や悪口ですが、例えば、一般的には、部下に対する愚痴よりも、どちらかというと、上司に対する愚痴の方が多いように思います。
これは、立場の強さ、弱さが関係していると思います。
一般的には、上司の方が部下よりも強い立場にいて、部下は上司よりも弱い立場にいます。
弱い立場にいる部下は、何か上司のことで辛い思い、嫌な思いをさせられていても、強い立場にいる上司に直接思ったことを言えないので、そのやるせない思いを愚痴にして、または悪口にして、誰かに聞いてもらうことで、自分の気持ちを楽にしたいのかも知れません。
そういう意味で愚痴や悪口ばかり言う人は、弱い立場にいる人なのだと思います。
ところで、愚痴や悪口を、誰かを悪く言っている、つまり、「攻撃している」と捉えると、聞かされる側は嫌な気分になることがあるかも知れません。
「攻撃している」と捉えると、例えば、その矛先が自分ではなく、他の誰かに向けられていても、人は無意識の間に、自分もいつか同じことをされるのではないか、または、陰でそう思われているのではないか・・と感じてしまう、そんな多くの人の共通する心理があります。
だから、愚痴や悪口は人を遠ざける言葉なのかも知れません。
ただ、その愚痴や悪口を誰かへの攻撃、誰かを悪く言っていると捉えるのではなく、その愚痴、悪口を言う人には、やるせない思いがあって、そして、それを相手に直接言えない弱い立場にいるのかも知れないなと捉えてみると、その愚痴や悪口への感じ方も変わってくるかも知れません。
この弱い立場というのは、実際に弱い立場かどうかはまた別の話になると思います。
例えば、上司という立場なのに、部下に言いたいことを言えない人もいるかも知れません。
この場合、実際の立場は上のはずなのに、(例えば、人にはっきりと思ったことを言えない性格のために)弱い立場に立ってしまっているわけです。
やるせない思いがあって、それを言えない弱い立場にいる。
そう思うと、相手の愚痴や悪口に対する感じ方も少し、変わってくると思います。
愚痴や悪口を「変換」する
「弱い立場にいて、やるせない思いがあるのかも知れないな」
例えば、そんな風に思ってみた時、その愚痴や悪口に対する感じ方が変わって、上手に話を聞いてあげたり、または、聞き流すようになれることがあるかも知れません。
ただ、それでもちょっとうまくいかないような場合は、愚痴や悪口を変換してみてもいいかも知れません。
例えば、友人が(自分の)部下の愚痴、または悪口をこんな風に言ってきたとします。
「〇〇ってヤツは本当に無能なんだよ。○○大学を出ているのにだよ。○○大学って仕事ができないヤツばかりなのかね。」
これだけ見ると、明らかに相手や相手の大学出身の人達を攻撃しているような感覚になるかも知れません。
ただ、相手は「やるせない思いがあって、それを言えない弱い立場にいる」と思うと、例えば、本当は・・・
「○○のやつ、俺の言ったことを何度も無視して・・。何故、上司の俺の言うことを聞いてくれないんだよ。悲しいよ。」
・・という思いなのかも、知れません。
だけど、人は本音はなかなか言えないもので、それは弱さを人に見せるようなものだと思います。
ただ、実際は愚痴や悪口を聞くということは、相手の弱さを聞かせてもらっているようなものなのかも・・知れません。
人の悪口ばかり言う人は、攻撃的に見えて、強い人のように見えるかも知れませんが、本当はそうではないと思います。
本当はその反対で、自分に強さがないからこそ、愚痴や悪口を言うしかないのかも知れません。
そんな風に捉え方を変えてみると、それほど大きなストレスを感じずに、話を聞き流すことができたり、または、何かマイナスなものを受け取らずに済むかも知れません。
「愚痴を言い続ける人は「そういう病気」なんだと思ってごらんなさい」
美輪明宏さんは、著書「地獄を極楽にする方法」の中で、多くの人生相談に答えていらっしゃいます。
その中にこんな相談もありました。
「20人ほどの小さな会社に勤めていますが、そこの事務担当の初老の女性のグチや恨み言に気が滅入ります。(中略)毎日、仕事中はほとんどずっと、呪文のように「どうして私だけがこんなに不幸なのかしら」「私の悩みの大きさに比べたら・・」と繰り返すのです。
聞き流せない私も私ですが(中略)「いいわね、あなたは悩みがなくて。なのに私は苦労と不幸ばかり」と返されては仕事にさえ集中できません。どう対処するべきでしょうか。」(出典:「地獄を極楽にする方法」 p.112 美輪明宏著)
美輪さんはこの相談者に対して、「私は病院に勤める看護師さんなんだと考えてごらんなさい」と答えています。
愚痴ばかりの同僚は、同僚ではなく「患者」さんなんだと。1日に100回も同じことをブツブツ繰り返している患者さん。そういう病気なのですよ、と。
そして、そう考えるとすべてがクリアになる。認知症になったおじいちゃん、おばあちゃんの介護をしている介護士は、毎日毎日の繰り言(愚痴を何度も繰り返して言うこと)に対して、いちいち相手にしたり、それを真に受けて苦しんだりはしないでしょ、と。
周りの迷惑を顧みず、愚痴や恨み言を言うことが間違っていると思うと、どうしてもイライラしてしまいますが、美輪さんがおっしゃるように、
「そういう病気なのだ」
例えば、そんな風に思ってみると、「どうにもならないな」と思えてくるかも知れません。
不思議なことに、相手が間違っていると思うとイライラの感情が湧いてくるものですが、相手は変わらないと諦めてしまうと、イライラの感情は薄れていったりします。
愚痴や悪口ばかり言う人にイライラしないためには、相手を上手に諦めてしまうことが大切なのかも知れません。
美輪さんはきっとそういうことをおっしゃりたかったのではないかなと、思いました。
また、美輪さんは、物事にはいい面と悪い面が必ずある。愚痴を聞かされることにもプラスの面があるはずだとおっしゃっています。
(今の状況を練習やトレーニングだと思って)愚痴を受け流すことができるようになれば、自分も強くなれるし、仕事上でも「この人はどんな状況でも仕事に集中できる人だ」と評価されるようになる、と。
マイナスだと思っていたことも、捉え方次第ではプラスになるのかも知れません。