何をやってもダメな時期の心の持ち方・抜け出し方
何をやってもダメな時期、人生のスランプのような時期も長い人生の中ではあるかも知れません。
仕事でそんな風に感じることがあるかも知れませんし、または人間関係でそんな風に感じることがあるかも知れませんし・・
そんな時、何をやってもダメな時は、うまくいかないこともそうですが、気持ちの面でもどんどん追い込まれていってしまうというか、気持ちがついていかなくなってしまったりすることがあります。
そんな時はどんなことを考えたらいいのか、どんな心の持ち方をすれば、このうまくいかない、辛い時期を乗り越えることができるか?
今回はそんなことについて見てゆきたいと思います。
今をつないでゆく
何をやってもダメな時、または、人生のスランプのような時期というのは、案外多くの人が経験するようです。
国民栄誉賞を受賞した(将棋)棋士、羽生善治さんにも、何をやってもダメな時期があったといいます。
羽生さんは、自分にあることを言い聞かせ続けることで、その何をやってもダメな時期を乗り越えたそうです。
そのお話については少し後でご紹介したいと思いますが、ただ、何をやってもダメな時期というのは、案外多くの人が経験していて、そして、そういった方々のお話で共通しているのは、何をやってもダメな時期には終わりがあるということです。
そういう時期には、どうも期限があって、そして不思議とその期限が来ると、目の前が開けていったりするようです。
何をやってもダメな時期というのは、何をやってもダメなのであって、だから、何をやっても・・ダメなわけです。
ただ、そういう時期には不思議と期限があって、だから、大事なことは何かというと、それは恐らく、今をつないでゆくということだと思うのです。
切れてしまわないように、今をただ、つないでゆくこと。
今、この瞬間をつないでゆくこと。
そんなことが大切なのかなと、思います。
そして、何でもいいと思うのです。その方法は。
大きな何かではなくて、今、目の前にあるものに気持ちを向けてみてもいいし、少し休んでみるのもいいかも知れません。
今をつないでゆくために、ちょっと自分に甘くなってみたり、何か、ちょっと楽しいなと思うことをやってみてもいいかも知れません。
例えば、昔はまった漫画を読んだり、昔好きだった音楽を聴いてみるのもいいかも知れません。
または、ふらっと旅に出たり、温泉に行ったりしてもいいかも知れませんし。
ただ、例えば、仕事でスランプの時に、仕事とは関係ない遊びをしようとすることには抵抗がある人もいるかも知れません。
以前の僕がまさにそうでした。
ただ、物事は意外な形でつながっていて、オフが充実すると、オン(仕事)が充実してくることもあるようです。
仕事が不調の時に、遊びを充実させるなんていうと、現実逃避のように思われるかも知れませんが、ただ、その現実逃避も実は案外重要だったりすることがあります。
例えば、趣味のプラモデル作りに没頭することで、仕事のスランプを抜け出した人もいます。
何をやってもうまくいかない人生のスランプのようなものがあるとすれば、そのスランプを抜け出すヒントや答えのようなものは、歯を食いしばって考えている時よりも、何かを楽しんでいる時や、何か充実した気分の時に、ふっと浮かんでくることが多いのかも知れません。
その気持ちに見合ったものが自分に浮かんできやすいというか。
だから、例えば、仕事、または人間関係でもそうかも知れませんが、何かがうまくいかない時は、それ以外の何かを充実させてみてもいいかも知れません。
何をやってもダメな時は、いつかやってくる、そのスランプが終わる時まで、工夫をしながら、切れてしまわないように今を何とかつないでゆく。そのために、今、できることを自分なりにやってゆくということが大切なのかも知れません。
羽生善治さんが心掛けた2つのこと
先ほども少しご紹介しましたが、2018年に国民栄誉賞を受賞した将棋棋士、羽生善治さんにも何をやってもダメな時期があったといいます。
その時期、羽生さんが自分自身に言い聞かせたことが2つあったそうです。
そのことについて羽生さんは自身の著書の中でこんな風に語っています。
「何もしない。『今は休む時だ』と思うようにしています。もう1つは、『ここが底だ』と考えて、『これ以上はいくらなんでも悪くならない』と言い聞かせます。」
(出典:捨てる力 p.166 羽生善治著 PHP文庫)
何もうまくいかないと感じていた時期は「何かがかみ合わない」ということが続いたのだとか。
そういう時期を「今は休む時だ」「ここが底だ」「これ以上はいくらなんでも悪くならない」と自分に言い聞かせながら過ごしているうちに・・
こうしたらいいのではないか?こうしようという改善案が浮かんできて、そのことに集中していたら、また歯車がガチっとかみ合うようになっていったのだとか。
美輪明宏さんが語ったスランプの意味と抜け出し方
美輪明宏さんが、人生のスランプはお店で言えば、棚卸の時期だと語っていらっしゃったことがありました。
「開運の時期」というものがあるが、その時のために今は色々なもの、教養や知識、技術といったものを自分の中にため込む時期なのだと。
そして、スランプの時期、何をやってもダメな時期というのは、マイナスに捉えてしまいがちだが、今は開運の時のために必要な時期なんだと、そう捉えて過ごすことも大切だと。
また、美輪さんは、何をやってもダメな時は、体の力を抜くこと、そして、開き直って腹を括(くく)ることも大切だと、あるメディアで語っていらっしゃいます。
そして、開き直って腹を括った上で、過去や未来のことは考えず、目の前のことに集中して、その目の前のことをクリアしてゆく、その積み重ねが八方ふさがりの状況をいつの間にか崩してゆく、と。
スポーツの世界でスランプから抜け出す選手が持っていたもの
世界選手権男子400mハードルで銅メダルを獲得した為末大さんは著書の中で、スランプに耐えて、そこから抜け出す選手たちには共通点があると語っています。
その共通点とは「楽天性」なのだそうです。
スランプから抜け出してゆく選手達には、「なるようにしかならないさという心構え」があるのだと言います。
先ほども美輪さんの言葉を紹介しましたが、開き直る、または、なるようにしかなさないさ・・・と思うことも開き直りだと思いますが、そのある種の諦めが、視野を広げてくれることもあるかも知れません。
スポーツでも仕事でも人生でもそうかも知れませんが、スランプに陥った時というのは、人はどうも、近くばかりを見ていたり、視野が狭くなっていることが多いようです。
そんな時は、少し自分の視点を離れて、誰かの視点で物事を見てみたり、また、近くではなく、遠くを見るようにしてみることも大切なことかも知れません。
何をやってもダメな時期に僕が思うこと
何をやってもダメな時期というのは僕にもあります。
仕事でそんな状況になることもあれば、体の治療をしていた頃にそんな状況に陥ったこともありました。
そんな時に僕がいつも思っていたことが3つあります。
1つは、先ほども書かせていただいた、今をつないでゆくということ。2つ目は、小さな希望をいつも心に用意しておくということ。3つ目は、最後まで諦めないということ。
何をやってもダメな時期は、少なくとも僕自身の場合は、何かをやって、結果的にうまくいかないことに対する怖さはないのです。
元々、うまくいっていないわけですから。
ただ、自分にとって一番怖いことは、希望のようなものを失ってしまうことで、それがなくなってしまうということは、やれることもなくなってしまうということで、それが一番怖いこと。
だから、小さな希望のようなものをいつも探していよう、と。
うまくいかないことに悲観的になる時間は、その小さな希望のようなものを探す時間に変えよう、と。
もう1つが、最後まで諦めない、ということ。
この最後まで、というのは、やれることをすべてやりきるまで・・という意味です。
諦めそうになると、「やれることはすべてやりきったと言えるか?」そう自分に問いかけてみます。
すると、「まだまだできることがあるはずだ」と、そう思えてきたりするのです。
何をやってもダメな時期というのは、何をやってもダメなわけで、とても辛い時期だと思いますし、それはまた、時に終わりのない戦いのように思えてくることもあるかも知れません。
ただ、こういった何をやってもダメな時期というのは、自分でも思ってみなかった形で終わることもあるし、また、今の自分には見えない何かがふとした瞬間に見えてくることで、終わりが来ることもあるようです。
そんな風に、自分にはまだ見えていない何かを信じてみるということも、場合によっては自分の力になるかも知れません。