不安で何度も同じこと、確認を繰り返してしまう。繰り返す不安の消し方
何か不安が湧き上がって、何度も繰り返し確認したくなる・・・そんなこともあるかも知れません。
例えば、将来の不安のように漠然とした大きな不安から、鍵を閉め忘れたのではないか?という身近な不安などであったり。
または、夫や妻、彼氏や彼女が、または友達が自分から離れていってしまうのではないかという不安であったり。
何か不安が湧き上がって、その不安を消すために、何度も同じようなことを考えてしまう、何度も同じような行為であったり、確認を繰り返してしまう・・・というか。
そういうことは誰にでも起こり得ることだと思いますし、それは悪いことじゃないと思うんです。
ただ、それが少し過剰になってきたりすると、自分がとても苦しい状態になってしまうことがあります。
また、もしその状態が非常に強く日常生活に大きな支障をきたしている場合は、それは強迫性障害(不安障害のひとつ)という可能性もあるかも知れませんので、その場合は専門家に相談してみる必要があるかも知れません。
例えば、自分の手が汚れているという強い不安にかきたてられて、何時間も手を洗い続けたりするのは、強迫性障害の1つの例になります。
ただ、先程も書かせていただきましたが、何度も不安が湧き上がってくることは誰にでも起こり得ることで、それがイコール、強迫性障害とは限りません。
さて、少し話がそれましたが、今回は(誰にでも起こり得る)繰り返す不安の消し方、不安から何度も同じことを繰り返してしまう、何度も確認したくなる自分にストップをかけるためにはどうしたらいいか?
・・・ということについて見てゆきたいと思います。
不安にはこんな仕組みがあった
不安にはどうも仕組みのようなものがあるようです。
これまで不安については自分自身の経験も含め、色々な記事をご紹介してきました。
- 不安の鎮め方。不安な気持ちが次々と湧き上がって怖くなったら
- 歩き瞑想をすると、不安や悩みが消えてゆく
- 不安や心配な時に気持ちが楽になる5つの言葉
- 将来の不安を解消する方法
- 不安・恐怖に関する記事一覧へ
今回は繰り返す不安と、それを打ち消すために何度も同じことを考えたり、同じことをしたり、同じような確認をしたり・・・という自分にストップをかける方法について、また、その繰り返す不安そのものを消してゆく方法について、考えてみたいと思います。
その前に、いきなりこんなことを言うのは矛盾しているかも・・知れませんが、不安というのは、不安の鎮め方。不安な気持ちが次々と湧き上がって怖くなったらでも書かせていただきましたが、自分のために働いてくれているもの・・・のようです。
自分を船に例えると、僕は船長、不安はその自分という船の乗組員の一人です。怒りや悲しみという感情もまた、乗組員です。
みんな、自分という船が安全に航海できるように働いてくれています。
これについては上記の記事でご紹介しましたので、この辺にしたいと思いますが、ただ、不安は敵ではないというところからスタートすることが、不安をコントロールしてゆくためには必要なことになると思います。
不安が敵だと思うと、不安は悪いものだと思うと、不安をコントロールするのがどんどん難しくなってゆくからです。
また、不安を消す方法と、あえてそのように記載しましたが、実際には、不安をコントロールする方法ということになろうかと思います。
本当の意味で不安が消えてしまったら・・・大変なことになるからです。
不安を感じるからこそ・・・自分の身を守れます。
将来が不安だから・・・今、何かを行動に移そうと思えるわけですし、例えば、彼氏、彼女がいなくなってしまうのではないか・・・と不安になるからこそ、相手を大事にしよう、二人の関係を大事にしようと思えるわけで。
もし、そういった不安が本当に消えてしまったら、むしろ、大変なことになると思うんです。
ですので、そういう不安の本質と言いましょうか、そういうことを踏まえた上で・・・今回は繰り返す不安のコントロール方法について考えてみたいと思います。
不安がどんどん増えてゆく仕組み
さて、不安で何度も同じ行為を繰り返してしまう、何度も確認してしまう・・・という時の不安のコントロール方法ですが・・・
これには実はある仕組みが関係しています。
不安がどんどん増えてゆく仕組みです。
不安がどんどん増えてゆくからこそ・・・何度も同じことをしなければならないのであって、何度も確認をしなければならないのであって、それはやっている本人も本当は(確認やその行為そのものを)やめたいものだと思うんです。
例えば、同じことを繰り返している自分が何だか情けなく思えて来たり、同じことを繰り返すことで心も体もどんどん疲れてゆくこともあるかも知れません。
それがやめられないのは、不安がどんどん増えていっているから、だと思うのです。
もし、一度確認することで、または一度何かの行為を行うことで不安がす~っと薄れていって、そのままだったら・・・もう一度同じことをする必要はありません。
だけど、その確認をした後にまた不安がやってくるから、同じことをしなければならないわけです。
そして、そのまたやってきた不安というのは、不思議なことに一度目よりもやや・・・強くなっているような気がするかも、知れません。
それは実は不安の仕組みが関係しているのかも・・・知れません。
その仕組みとは・・・
1)不安になる
2)確認する、または何かの行為を行う
3)不安は一時的におさまる
4)また不安になる
5)確認する、または何かの行為を再度行う
6)不安は一時的におさまる
7)また不安になるが、今度は不安が前回より少し大きくなる
8)確認する、または何かの行為を行う
9)一時的に不安がおさまる
10)今度は前回よりもさらにもう少し不安になる
・・・という仕組みです。
簡単な図ですが、こんな感じです。
ポイントは確認する、または何かの行為を行った後に、一旦は不安がおさまるのですが、その後に不安が以前よりも何故か少し大きくなることです。
特に、不安が確認することで、もしくは何かの行為を行うことで(例えば、鍵をかけ忘れていないか確認に行く。例えば、友人のSNSを確認する、などなど)、一旦、不安がおさまることも大きなポイントかも知れません。
だから、また、同じことを繰り返したくなるのです。不安を消すために。
だけど、その後、上記の例だと不安は一旦おさまった後に、また大きくなり、さらに前回の不安のレベルよりも少し大きくなっています。
これが不安がどんどん増えてゆく仕組みです。
不安は何度も同じことを確認しようとすると、増えてゆく・・・そんな仕組みがあるようです。
じゃあ、どうしたらいいのか?ということについて、次で詳しく見てゆきたいと思います。
繰り返す不安はこうすると薄れてゆく
先程はこのような例を挙げました。
1)不安になる
2)確認する、または何かの行為を行う
3)不安は一時的におさまる
4)また不安になる
5)確認する、または何かの行為を再度行う
6)不安は一時的におさまる
7)また不安になるが、今度は不安が前回より少し大きくなる
8)確認する、または何かの行為を行う
9)一時的に不安がおさまる
10)今度は前回よりもさらにもう少し不安になる
繰り返す不安をコントロールするには、この上記のどこかを変える必要があります。
じゃあ、どこを変えますか?
それは、こんな感じに変えてみます。
1)不安になる
2)確認する、または何かの行為を行う
3)不安は一時的におさまる
4)また不安になる
5)今度は何もしない。不安をそのままにしておく
6)不安は一旦大きくなる
7)それでもそのままにしておく
8)不安は薄れてゆく
不安をそのままにしておくなんて・・・という話なのですが、そうすることが何故、またどういう形で不安が薄れてゆくことにつながるのか、少し詳しく書いてみたいと思います。
まず、一度は確認をします。または何か行動に移します。
これは大事なことだと思うんです。
例えば、将来の不安が湧き上がってきた時。今、何か行動に出たり、貯金を確認したり・・・ということは大事なことになります。
例えば、鍵をかけ忘れたのではないか?と思った時。本当に締まっているか、確認するのは大事なことだと思うんです。
ただ、問題はここからです。
一度確認した後に不安がまたやってきます。だから、また確認したくなるわけで、だから同じことを繰り返してしまうわけです。
ただ、一度確認した後に不安がやってきても、今度は何もしません。その不安をそのままにしておきます。
すると、不安は大きくなってゆきます。不安がぐっと大きくなります。
ここで多くの場合、その不安をおさえるために、また同じような確認をしたくなったりします。不安に耐えきれなくなって、仕方なく・・・です。
でも、ここで踏ん張ります。
ここで耐える。不安が大きくなってきたら、「来た来た。」と思ってみます。
この不安は例えてみれば、一度、おもちゃを買ってほしいと母親に言って「だめだよ。」と言われたのに、諦めきれず、「買って!買って!買ってくれなきゃいやだ!!」と駄々をこねている(自分の中にいる)「小さな子供」です。
ここで、あまりにもうるさい子供に耐えきれなくなって、おもちゃを買うと・・・
その自分の中にいる小さな子供は、一旦は静かになりますが、また、おもちゃを買って!と駄々をこねるようになります。
駄々をこねたらおもちゃを買ってもらえると思っているので、次はもっと駄々をこねるようになります。
これはずっと続きます。だから、ずっと、おもちゃを買い与え続けないといけない。
じゃあ、どうしたらいいのか?
ということですが、2度目は(自分の中にいる)駄々をこねる小さな子供を放っておきます。
すると、どんどんうるさくなってゆきます。泣き叫んだりします。
だけど、そこで負けない。そこで踏ん張ります。
それでも泣き叫ぶ自分の中にいる小さな子供を放っておきます。
(一応・・これは本当の子供のことではなく・・・不安を自分の中にいる小さな子供に例えたお話です。前回は船の乗組員だったのに、ですが・・)
さて、そうやって駄々をこねる小さな子供を放っておくと、最初は泣き叫んだりして、どんどんうるさくなってゆきますが、それでも放っておくことを続けていると、小さな子供は泣き疲れて静かになってゆきます。
さて、例え話は少し置いておいて・・・
先程の、
1)不安になる
2)確認する、または何かの行為を行う
3)不安は一時的におさまる
4)また不安になる
5)今度は何もしない。不安をそのままにしておく
6)不安は一旦大きくなる
7)それでもそのままにしておく
8)不安は薄れてゆく
簡単な図にするとこんな感じです。(図は説明のために作ったもので、実際にこれと同じ曲線を描くとは限りません)
1つ目のポイントは、一度は確認する、何か行動に出ること。そして、確認はその1回だけにします。
2つ目のポイントは、次に同じ不安がやってきた時に何もせず放っておくこと。
3つ目のポイントは、放っておこうとした時、その不安は一時的にぐっと大きくなることを予め予測しておくこと。
4つ目のポイントは、その大きくなった不安に負けないこと。それでも放っておくと、不安はその後に薄れてゆく・・・ということです。
確認するのは、または行動するのは一度まで、と心に決めます。
そして、それを実践してみる。
すると、また不安がやってきて、そしてその不安は増してゆく。
それでも、踏ん張って、不安に負けずに行動せずにいると、確認せずにいると、不安は不思議なことに、泣き叫んで疲れた小さな子供のように・・・静かになってゆきます。
繰り返す不安。不安から、同じことを繰り返したり、同じような確認を続けているのは、この駄々をこねる小さな子供の言うことを聞きつづけているような状態なのかも、知れません。
だけど、少しその自分の中にいる小さな子供に厳しくしてみます。
放っておきます。その小さな子供に負けずに。
すると、その小さな子供は泣き叫んだ後で、静かになってゆきます。
最初はあまりにもうるさくて、負けてしまうこともあるかも、知れません。だけど、少しづつ、挑戦を続けてみます。
最初は10回やって1回成功したら・・100点満点です。それでいいので、続けてゆきます。
そうやって挑戦を繰り返してゆくと、成功する確率が上がってゆきます。
すると、心も体もどんどん楽になれると思うのです。
同じことを何度も確認したり、同じ行動を繰り返すのは、本当に疲れることだと思います。
そこから、自分を解放してゆきます。
もっとも、冒頭でも書かせていただきましたが、場合によっては専門家の助けが必要なケースもありますので、その場合は繰り返すようですが、専門家に相談なさってください。
ただ、不安というのは、面白いことにいくつかの特徴、仕組みがあるようで、そんなことを理解して、そして、上手にお付き合いしてゆくことで、多くの不安というものはコントロールできるようになるものだと、僕はそう思っています。
また、そうやって不安の仕組みを理解することで、不安は本当は敵でも何でもなくて、自分の味方だったことに気づいたりします。