自己重要感という悩みの根源。自己重要感を高める2つの方法
「自己重要感」という言葉があります。
自己重要感とは、自分は重要な存在なんだと感じる心のことです。
自分は重要な存在なんだと感じる心・・といっても、自分は人に比べて重要だとかそういうことではなく、言ってみれば、自分は自分でいいと思える心に近いものです。
自己重要感が十分にある状態は、自分で自分を認められている状態、もしくは自分自身の存在や存在価値のようなものを認められている状態でもあると思います。
反対にこの自己重要感が枯渇した状態だと、自分の価値(自己価値)、もしくは、自分の存在価値を感じられず、それが様々な悩みに発展してしまうことがあります。
例えば、自己重要感が足りていない状態では、自分の存在価値や存在意義が感じられないので、大袈裟なことを言うと、生きてゆく意味を見失ってしまったり、突然のように気持ちが落ち込んでしまったりすることがあったり・・
人間関係でも自己重要感が足りていない状態だと、人からの言葉に傷つきやすくなってしまったり、人の評価を求めすぎてしまったり、必要以上に自分を守りたくなったり・・
また、自己重要感が不足した状態だと、人に対しても寛容になれなくなってしまうことがあります。
例えば、自慢する人にイライラする自分に悩む・・というのも自己重要感が不足していることが原因になっている場合もあります。
自慢するというのは、自慢している人自身の自己重要感を高めようとする行為でもあり、場合によっては、その話を聞いている人の自己重要感を奪う行為にもなるからです。
これ以外にも、意外なところでは、自己重要感の低さが時に感謝されたいという気持ちに発展することもあったり、自分を大切にして欲しい、特別に扱って欲しいという欲求につながってしまうこともあります。
感謝されることも大切に扱われることも、特別に扱われることも、自己重要感を高めてくれるためです。
そんな形で、自己重要感が不足していることが自分が抱えている多くの悩みの根源になっている・・ということがあります。
目次
- 自己重要感が不足してしまう理由
- 「自己評価」「自分を認めること」は何故大事なのか?
- 自己重要感を高めるには?1日の終わりに3分でできること
- 自己重要感を高めるもう1つの方法
- 気を付けたい2つのこととは?
自己重要感が不足してしまう理由
では何故、自己重要感が不足してしまうのでしょうか?
自己重要感が不足してしまう理由も人によって様々なのですが、例えば、子供の頃に親に殆ど褒められることなく、もしくは認められることなく育てられたり、親に否定されることが多かった・・というような場合は、自分は自分でいいんだとはなかなか思えないかも知れません。
その場合は大人になっても、その気持ちは変わらず、自己重要感が低い人になってしまうこともあるようです。
ただ、子供の頃の経験だけが今の自分の自己重要感の低さの原因ではなくて、例えば、大人になってから自分や自分の存在そのものを大きく否定されるような出来事が起こったりすると、自己重要感が著しく低下することがあります。
また、自己重要感が大きく不足すると、自分の価値を感じられなくなることがありますが、その原因を探ってゆくと、自分が一生懸命頑張ったことを自分の大切な人に認めてもらえなかった、または否定されてしまった・・・という過去の経験にたどり着くことがあります。
色々な理由、原因があるのですが、何らかの形で「自己評価が低い」場合や「自分で自分、もしくは自分の存在価値を認めることができていない」状態だと、自己重要感は不足しやすくなります。
そして、この「自己評価」、「自分を認める」ということが、自己重要感を高めてゆくためにはとても大事なキーワードになってくるように思います。
「自己評価」「自分を認めること」は何故大事なのか?
でも、何故、自己評価や自分で自分を認めるということが大事なのでしょうか?
自己重要感は例えば、人に認めてもらうことでも高まります。人から評価してもらうことで自己重要感を高めてはダメなのでしょうか?
確かに、自己重要感は人から与えてもらうこともできますし、それも一つの方法だと思います。
例えば、人から評価されたり、人から認められたりすると、自己重要感も高まります。
人から認められることで、自分で自分のことをそれでいいと思えるためです。
ただ、人に与えてもらう方法にはいくつか問題があります。
1つは、人は常に自分を評価してくれるとは限らないことです。評価された時は自己重要感も一旦は高まりますが、評価してもらえなかった時は反対に自己重要感を失ってしまいます。
また、(人に与えてもらうやり方で)自己重要感が不足した状態だと、人にどうしても求めすぎてしまい、それがまた色々な悩みにつながってしまうこともあります。
一方で、自分で自分を認めてゆく方法、自己評価を高めてゆく方法であれば、人に依存しなくて済むので、自分次第でいくらでも、いつでもできます。
また、この方法なら、人に求めすぎなくても済むわけで、その結果(人に求めすぎていたことで生まれていた)悩みが減ってゆく・・ということもあります。
自己重要感を高めるには?1日の終わりに3分でできること
自己重要感を自分自身で高めるには、自己評価を高めてゆく、もしくは自分で自分を認めてゆく必要があるように思います。
では自己評価を高めるには、もしくは自分で自分を認めるにはどうしたらいいでしょうか?
そのためにできることは沢山あると思います。
少し自分自身の話になりますが、僕自身、長い間、自己重要感の低い人間でした。
何をやっても、自分で自分のことを本当の意味で認めることができたことがなく、また、それが自分にとっては当たり前の状態でした。
ところがある時、それは本当は当たり前の状態ではなくて、自分は自己評価というものがとても低いということ、そして、その自己評価の低さ、自己重要感の低さが、自分をとても生きづらくしていたことに気付いたのです。
そんな自分が自己重要感を高めるためにやってきたことがいくつかあるのですが、その1つを少しご紹介したいと思います。
自己重要感、もしくは自己評価を高めるために僕がやってきたことですが、それは「1日の終わりに今日の自分のよかったところを3つ挙げる」ということでした。
自分の悪いところを直せ。
自分の欠点を克服しろ。
そういう風に教えられて育ってきた自分の中に「自分のよいところ」を探す習慣は全くありませんでした。
むしろ、自分に足りないところ、自分の欠点や悪いところを探すことが癖になっていて、だから、最初に今日の自分のよかったところを3つ挙げようとした時、「ははは・・」と何故か笑えてきたのです。
全く思いつかなかったからです。今日の自分のよかったところが。
それで「これはむしろいいかも知れないな」と思いました。これまでの自分には全くなかったことをするわけですから、何かが変わってくるかも知れないなと、そう思ったのです。
そこから、毎日続けてゆくと、少しづつ今日の自分のよかったところが見つかるようになりました。
自分のよかったところを探す時ですが、3つのコツがあります。
それらは、
- ①小さなことを探すこと
- ②結果のようなものではなく、できれば心の姿勢のようなものを探すこと
- ③自分の存在価値を認めることにつながる何かを探すこと
という3つになります。
①小さなことを探す
例えば、道に落ちていたゴミを拾った・・も今日の自分のよかったところに入れます。
大きな何かだとなかなか見つかりませんが、小さなことであれば、探そうとすると案外見つかったりします。
自分のすごくよかった何かを1ヶ月に1回見つけるのではなくて、小さなよかったところを毎日コツコツ見つけていった方が自己重要感を高める上では効果があるようです。
②心の姿勢
例えば、道を譲ろうとした(心の姿勢)でもいいわけです。実際に道を譲ったかどうかは別にして、そうしようとした姿勢を自分で認めてゆきます。
結果ではなくて、できれば心の姿勢のようなものを探す・・ということですが、目に見えるものではなくて、目に見えないものの方が(自己重要感を高めるためには、もしくは自分で自分のことを認めるためには)いいようです。
目に見えるもの、例えば、何かを成し遂げた、賞をもらった、大会で優勝した・・というような目に見えるもので自分を評価することが何故あまりよくないかというと、目に見えるもので自分を評価してゆくと、どうしても人と比べたくなるためです。
人との比較の中で自分を評価しようとすると、人よりも勝っている時にしか自分を評価できなくなります。
このやり方だと、勝っていると感じた時はいいのですが、負けていると感じた途端に自己評価が下がってしまい、安定した自己重要感を持つことができなくなります。
言い換えると、人との比較の中で得た自己評価というのは、もろく、崩れやすいのだと思います。
ちなみに、何故、目に見えるもので自分を評価しようとすると人と比べたくなるか?ということについては人と比べる癖。人と比べてしまう原因と直し方とは?にて詳しくご紹介していますので、よかったらそちらをご覧ください。
いずれにしても自分のよかったところを探す時は、できれば目に見えるものではなくて、目に見えない心の姿勢、自分の在り方のようなものにした方がいいと思います。
③自分の存在価値を認めることにつながる何かを探す
これも大切なポイントになると思います。
自分で自分の存在価値を認めることが、イコール、自己重要感を高めることになるためです。
例えば、人に優しくしようとした自分であれば、自分でも自分の存在価値を認めることができるのであれば、そういったことを探すようにしてゆきます。
例えば、道を譲ろうとしたでもいいし、お客さんの立場で考えようとしたでもいいですし。
心理学者のアドラーは、
「自分が他者にとって役に立っている、貢献していると感じられた時、自分の価値を感じることができる」
そう語っていますが、自分で自分の存在価値を認めてゆくためには、何らかの形で人の役に立つことをしてみる、またはそういう心の姿勢を大切にしてゆくのもいいかも知れません。
いずれにしても、そんな形で今日の自分のよかったところを1日の終わりに3つ挙げる・・ということをしてゆきます。
これを続けてゆくと、少しづつ穏やかな自己肯定感のようなもの、もしくは自分はここにいていいんだという自分の存在価値のようなものを感じられるようになったりします。
また、面白いものですが、1日の終わりに今日の自分のよかったところを挙げるために、積極的にゴミを自分から拾ったりする。(笑)
ただ、それが自分で自分を認めることにつながっていったりもします。
さらに続けてゆくと、不思議と全く関係ないような悩みがふっとなくなったりするようになったり、または、その悩みの度合いが少なくなってゆくこともあります。
これは何故かというと、冒頭でも書かせていただいたように自己重要感の低さが色々な悩みの根本的な原因になっていることも多いためです。
自分自身で簡単にできて、そして、自己評価や自己重要感も自然と高まっていきますので、自己重要感を高めたいという人にはおすすめです。
自己重要感を高めるもう1つの方法
自己重要感を高めるためにできる2つ目の方法が自分自身にかける言葉を変える・・ということになります。
何かうまくできない自分に対して、「ダメだな」「情けないな」という声をかけてしまうことがありますが、これは実は自己否定をしていることになるんですね。
何かに悩んだ時も、「こんなことで悩むのはやめよう」「そんなこと考えてちゃだめだ」と思うのも、悩んでいる自分を否定しているわけです。
仕事も家庭のことも忙しくて、なんだか色々なことが雑になってしまっている自分や人に優しくなれない自分に「こんなんじゃだめだ」と思うのも、同じように自己否定をしていることになります。
例えば、自分に厳しい人はこんな風にして知らぬ間に自分で自己価値や自己重要感を下げてしまっている可能性があります。
じゃあ、こんな時にどんな言葉を自分にかけたら、自己重要感は高まるの?ということですが、もし、相手が自分自身ではなく、自分の大事な友達だったら?と立場を入れ替えて、その友達に対してかける言葉を探してみる・・というのが1つの方法です。
仕事も家庭のことも忙しくて、人に優しくなれなかった時、「ダメだなオレは・・」と思ってしまった時も、一旦、視点を変えて、これがもし友達のことだったら・・と考えてみます。
友達のことだったら、「仕事も家のこともそんなに忙しいんじゃ無理もないよ。そんな時に、優しくできなかった・・と人のことを考えられていることがすごいことだと思うよ。」なんて言ってあげるかも知れません。
この言葉をそのまま自分にかけてみるのです。
「ダメだなオレは・・」だと自己評価は下がり、自己重要感も下がってゆきます。
だけど、「仕事も家のこともそんなに忙しいんじゃ無理もないよ。そんな時に、優しくできなかった・・と人のことを考えられていることがすごいことだと思うよ。」であれば、自己評価は下がりません。
むしろ、この場合は上がる可能性もあるわけです。
そんな形で、自分のしたこと、自分が感じたことを、一旦自分のこととしてではなく、友達のこととして考えてみると、否定的な評価をせずに済んだり、場合によっては、むしろ肯定的な評価ができることもあります。
そんな風にして、自分のことととしてではなく、自分の友達のこととして考えてみると、その何かを認めることができたり、肯定できるのは、客観的に考えることができるから、だと思います。
自分のことだと思うとどうしても主観的に見てしまって、見方が偏ってしまったりすることがよくあります。
ただ、自分を自分で認めてゆくためには、それではうまくいかなくて、やはり、もう少しバランスよく自分自身や自分自身がしたこと、していることを見る必要があって、そのためには客観的に物事を見るということが必要なのだと思います。
この自分のことではなく、友達のこととして考える・・ということは色々な場面で使えると思います。
今の自分に対しての評価もそうだし、過去の自分に対して低い評価をしているような場合も、この「友達のこととして考える」方法で自分を再評価してみると、失った自己重要感を取り戻せるかも知れません。
人は案外自分自身に対して厳しい評価を下しているのかも知れませんね。
自分や自分の言動に後悔してしまうことが多い人は特にその傾向があるかも知れません。
ただ、そんな風に自分に厳しい評価をする度に自己重要感も下がってしまうので、自己重要感を高めるためには、そんな自分に厳しい自分も変えていく必要があるかも知れません。
自己重要感を高めてゆく際に気を付けたい2つのこと
自己重要感を自分自身で高めてゆく際ですが、注意したいことが2つあります。
1つは、自己重要感はいきなり高まったりすることはないということです。
自己重要感は、自分は重要な存在なんだと感じる心のことですが、先ほどの2つのことをやったからといって、すぐにそう思える心が手に入るわけではありません。
というのも、そもそも自己重要感が低い原因というのが、子供の頃の親との関係にあることも多く、長年の積み重ねが今の自己重要感の低さにつながっていることも多いためです。
だから、何をしてもすぐに自己重要感が高まることはありませんし、もしすぐに高まるようであれば、本当に高まったのは自己重要感ではないかも知れません。
これはいつも書かせていただいていることですが、自分を変えるために何かをしようと思った時は、最初は3日を目指して続けてみます。
その次は3週間。それができたら3か月を目指します。
こうやって続けてゆくことで、自分の中で長年積み重なってきたものを少しづつ、書き換えてゆきます。
ただ、先ほど書かせていただいたような穏やかな自己肯定感のようなものは、3日続けてみるだけでも感じられるかも知れません。
また、3週間もするとその感覚がぐっと高まりやすいですし、3か月続けると、色々な意味で、自己重要感が高まりやすい状態の自分になれているのではないかなと思います。
そして、最終的に目指すのは3年です。3年続けると、その続けたものが完全に自分の習慣になります。
ただ、最初に目指すのはあくまでも3日です。
次は3週間。3か月続けるとその後は比較的楽に続けてゆけると思います。
自己重要感を奪う人とはできるだけ付き合わないようにする
自己重要感を高めてゆく際に気を付けたい2つ目のことは、自己重要感がまだ十分に足りていない段階では、自分から自己重要感を奪う人とはできるだけ付き合わないようにする、距離を置く・・ということになります。
それがたとえ、自分の親であっても、古くからの友人であってもです。
自分から自己重要感を奪う・・というと、何だか大袈裟ですが、簡単に言うと、自分を否定してくる人とはできるだけ付き合わないようにする・・ということになります。
言い換えると、「あなたはあなたでいいんだよ」と言ってくれる人と付き合うようにするということ。
自分自身で高めることができていて、尚且つ、自己重要感が十分に高まった状態になると、人からその自己重要感を奪われる・・ということは殆どなくなりますが、自己重要感が足りていない状態だと、奪われやすくなります。
ですので、自己重要感が十分に高まるまでは、お付き合いする人には気を付ける必要があるかも知れません。
ただ、もし、どうしても付き合わなければならない、会わなければならない場合は、心の距離を置くようにするといいかも知れません。
心の距離を置くという考え方については(記事自体のテーマは違いますが)嫌いな人との付き合い方。嫌いな人を気にしない方法とは?にてご紹介しています。